
エルはメスで2歳の冬に2頭の子犬を産みました。
名前は『テツ』と『バロ』。2頭ともオスで『テツ』はエル似で短毛、『バロ』は父親の『ジロ』似で長毛でした。
寒い朝、犬小屋をのぞくと2頭が母親に抱かれゴニョゴニョと動いており、エルが大切そうに一生懸命子供をなめている。
あまりにも可愛くて触ろうとしたら『ウ〜!!』と歯をむき出しにして唸った・・・・・。
でも、うれしくて、うれしくて毎日学校が終わるのが本当に待ち遠しかった。放課後を知らせるチャイムが鳴ると速攻で家に帰りました。
2ヶ月経った頃、『テツ』は姉の友人にもらわれ、『バロは』家で飼う事にしました。

『バロ』はオスだけあって力があり、2頭を連れての散歩は小学校4年生にはキツカッタ。
おまけに大変なイタズラ者でした。もう時効?だから言うけど、夜放すと朝必ずぞうりの左側をくわえて帰ってきました。だから私の家には他人の履物の左側がゴロゴロと・・・・・・・・。
また、売られたケンカは必ず買うところがあって、一度やりはじめたら手がつけられませんでした。
当時マンガで『白い戦士ヤマト』というのがあって、町内でも『犬は喧嘩するもんじゃ!』みたいなところがありましたから犬のケンカ事態は珍しくはなかったのですが・・・。
『バロ』は履物泥棒予防のため口輪(カゴタイプ)をして放していました。そして、ある朝全身血まみれで帰ってきたのです。誰かにやられたのは間違いない。犯人は誰?。実は私の友人のしかもバロの父親のジロにやられたのでした。今なら『犬を放したほうが悪いので犬が怪我をしたのは飼い主の責任』と自分を責め、動物病院に走るのでしょうが、当時は思考が全く変だったので、とりあえずケガしたところに赤チンをぬって、学校から帰ったらバロを連れて友人の家に仇打ちに行きました。ちなみに当然のことですが友人には全く恨みはなく、あくまでも犬同士の問題と考えての行動です。『口輪さえしてなければ、あんにゃろうになんかやられるはずがないんじゃぁ』。
さて、始まったバトルはすさまじかった!。犬同士のささいなケンカでも、少年の目にはサバンナで繰り広げられるオスライオンの命を掛けた戦いのように映りました。
決戦の行方は我犬の勝利に終わりました。
ごめんね。ジロ・・・・・・・。