
観音下町には小松-尾小屋を結ぶ尾小屋鉄道が走っていました。
小学校低学年のときはまだまだ現役で、日に何本か写真のようなミニディーゼル車に乗って小松の町に出るのがステイタス!とてもすごいことでした。
しかし、その鉄道もやがて廃線になり代わりにワンマンバスが市道を走ります。
今も昔の線路道が一部残っていますが、私にとっては切ない思い出が残る道です。
バロはカワイイ奴でエルとは違い私が何をしても決して怒ることはありませんでした。人に対してはとても温和でのんびり屋。
そのバロが散歩中に婦人を噛みました。犬が嫌いな婦人でバロを怖がって逃げたところ、犬の習性で追いかけて飛びかかってしまったのです。婦人の旦那はカンカン、私の父がバロを放したにもかかわらず父もカンカン!。とうとう殺処分という話まででました。少年の心は痛み何とかしてバロを守ろうととった行動は?!。家出です。それは事件の翌日に決行。
廃線になった尾小屋鉄道を小松に向って犬2頭を連れて歩きだすと、周囲は山に囲まれ、たくさんのトリのさえずりに感動!。いつもはランドセルを担いで登校し、朝の掃除をする時間に他の子供と正反対の事をすることに何故か快感を覚えました。途中で郷谷川向こうの市道を登校する子供たちに手を振り、道端で朽ちたブルトーザーに座って休み、また、てくてくと歩く。でもその頃小学校では大変なことになっていたらしいです・・・アハハハ。西尾小学校の校下は沢町までで、そこを超えると私には未知の領域でした。尾小屋鉄道には何度も乗っていたので時々陸橋があることは知っていました。

そして最大の難所、金野の陸橋にさしかかったのです。この陸橋はこれまでのものとは比べ物にならないくらい大きく高いものです。なにしろ川幅10m以上の郷谷川を渡るものですので。しかし、ここを渡らないと先には進めない、意を決して渡り始めたとたんに、まずエルが嫌がり、次いでバロも・・・犬が嫌がるなら・・・仕方ないなぁ(本当はボクも怖い・・・)。トボトボと引き返し市道に出ました。金野の農協のところで休んでいると偶然通りかかった(本当は必死に家出少年を捜索していた)校長先生に会い、なだめられるようにして学校に連れて行かれました(本当は連行)。学校に到着するとオニバアバア保健の先生(母)、父、捜索にかかわった人(教員 親戚その他)らがおり、バツが悪かった・・・・・。でも、私の起こした家出騒ぎでバロの処分は取り消されました。
しかし、悲劇は再度起こったのです。不運にも同じ婦人に全く同じ理由で飛びかかってしまったバロ。事件が起こった日、学校から帰ったらすでに犬小屋にバロの姿はありませんでした。守ってあげられなかった悲しみと大人の理不尽な対処に腹が立つものの,

なすすべもなく、切なさだけが胸に残った出来事です。
さようなら・・・・・・・。