高校でも陸上部に入部。本当はバスケット部に所属しましたが、中学時代に親しんだ野外の400メートルトラックに比べ体育館という閉鎖空間になじめず7日間で退部しました(しょまたれ!)。しかもハードルという短距離種目から『ヤリ投げ』に転向。石川県は当時やり投げのレベルが高くインターハイや国体に必ず数名の選手が出場、私も北信越大会までは出場させていただきました。
1年間はおとなしく?学生生活を過ごしましたが、2年生になった春に突然『犬との関係とは』などということを再び考えだし、上村直己の単行本を読みふけるようになりました。
犬と野山を散策し、テントで寝て、同じものを食べたらなにかこれまでとは違う関係が築けるのだろうか・・・?
しかし、良く考えたらおいらキャンプ道具は何もない。そこで、親父の車のカバーと新聞をしばる時に使うヒモ、マッチ、台所にあった鍋、毛布1枚等を持ってとにかく出発!!といってもヒマラヤなどに行けるわけもなく、大倉岳に1泊2日で登山に出かけました。リュックにキャンプ道具を詰め込み、愛犬エルと一緒に山頂に向う。部活があったので夕方に登山口から登り始めると、下山する人から『えっ?今から行くの』と言われ少し恥ずかしかった・・・(もしかしたら家出と間違われた?)。

しかしここで発見したのは、飼い主以外にはけたたましく吠えたり飛びかかったりするエルが自然の中では穏やかになったことです。登山客とすれ違っても『私は私よ〜ん』とでも言うようにさっさと歩く。でも、必ず私が見えなくなるようなところまでは離れず、常にこちらを見張っていてくれる。おかげで私は安心して山を登れます。途中の泉で2人のどの渇きを癒し、ただひたすら頂をめざす。山は低くとも気持はヒマラヤの高原・・・2人で同じことにチャレンジしていることに例えようのない充実感を覚えました。

そして、太陽が西の空を赤く染める頃、2人は目的地の山頂に到着しました。
休む間もなく2本の木にヒモをわたし、車のカバーで簡易テントを作成し、台所でくすねてきた食材料を広げます。今晩のメニューは『鳥釜めし』、 しかし、枯れ木に火をつけようとしてマッチ箱を開けると何と2本しかない!。もし、つけるのに失敗したら・・・メシが食えない。仕方ないので履いていた靴下を1足脱いで火を付けると化学繊維なので恐ろしいほどの炎をあげて燃えた!!。もしかしたら、この炎でご飯が炊けるかも?!でも臭そう・・・とバカなことを考えながらの野外調理はとっても楽しかったし、おいしかった。そしてあたりがすっかり暗くなったころ、テントに入ってエルと二人くっついて毛布1枚をかぶって寝ました。5月とはいえ、やはりムチャクチャ寒くガタガタと歯が震えました。でもエルの体が触れるお腹と気持はホカホカと暖かかった。
つづく・・・・・・