愛犬の死 それはほとんどの飼い主が避けては通れない茨の道です。
病死、事故死、老衰・・・・ どんな別れ方をしたにせよ、辛くただ悲しい。
エルの死は、大学生として住んでいたボロアパートに入った母からの電話で知りました。
気を使ってくれた母は、一つ一つ言葉を選ぶようにして、亡くなった時の状況を話してくれました。
どんな言葉をかけてくれたかは覚えていませんが、優しく、どこかぎこちない口調だったことは覚えています。
電話を切った後、ふらっと学生街の居酒屋に行き、壁に貼り付けてあるメニューから石川県の地酒を探し注文しました。店のおばちゃんが枡に酒をなみなみと注いで、目の前においてくれました。しかし、一口舐めた後、店を出ました。なんか、こんなんオッサンみたいでイヤやったんです。
エルは8歳から20歳という私の成長期をとても刺激的にしてくれたかけがえのないパートナーです。ですから、一緒に培った前向きな気持ちを、何かこうバァーっとエネルギッシュに爆発させたい気持ちで一杯でした。当時私は獣医大の学生で、野生動物の調査で山にばかり行っていましたので、夢中になって打ち込むことがありました。寝泊まりはいつも赤い寝袋。ただ、高校時代と違ったのは、全国から集まった大勢の先輩や同級生、後輩と一緒だったことです。同じ志を持って上京し、同じ目的で山というフィールドで活動する。そこで得た経験が大学生活のみならず、今の自分をも支えています。

亡くした悲しみは時を経て感謝の気持ちに変わりました。
彼女に恥ずかしくない生き方をしたく思います。