1988年の春、私は期待に胸を膨らませ、金沢駅発夜10時22分の寝台特急北陸に乗って大学進学のため上京しました。私が入学したのは日本獣医畜産大学の獣医学科で、新宿から中央線で20分の都会にありました。今は名前を変えて日本獣医生命科学大学となっています。寝台特急は早朝に上野駅に到着します。ホームを出てビックリ!、なんと一面が昨日から降った雪で銀世界でした。しかし、そのとき私はすごくホッとしました。なんせ、自然度90%の田舎から自然度10%のコンクリートジャングルに来たのですから、内心かなりビビっていたのです。それが今まで慣れ親しんできた雪景色になっていたのですから。しかし、その後が最悪。慣れない電車を乗り継いでなんとか住まい(学生ボロアパート)に到着したものの、待てど暮らせど送った家財道具が届きません。雪で運送業者が立ち往生していたからです。薄壁で畳敷きの部屋はガラーンとして寒い寒い。今みたいに携帯電話などないのでとにかく部屋で待ち続け、辺りが暗くなるころやっと荷物が届きました。でも、ストーブなど火機はないのでとりあえず山で使っていたダウンジャケットに身をくるみ、冷え切った体を温め、一応簡単に荷物を整理しようと思った瞬間「バチン!・・・・」という音とともに部屋が真っ暗になりました。キャンプ用のヘッドランプで捜索したところブレーカーは大丈夫。ということは・・・・予想どうり電源ヒューズそのものがブチ切れていました。ここまでくるともうお手上げ。はじめて上京した友人知人のだれ一人いない都会のアパートの真っ暗の一室でポツンと一人いる田舎もん状態のの私でした。さて、どうしよう・・・いや待てよ。荷物の中にいはいつもキャンプで使っていた道具たちがあるではないか。ということで、上京初日は東京内での初キャンプになりました。ガスランタンに火を灯すと余熱で6畳一間のアパートはそれなりにあたたかくなり、キャンピングガスで作った食事はレトルトの親子丼だったけどとてもおいしかったことを今でも覚えています。その後は布団もあったけどそれだけでは寒かったので、ダウンの寝袋にくるまって寝ました。
それなりにドラマチックに始まった私の学生生活はこれまでの暮らしとは180度異なる、野生動物一色の生活です。今後はそんなWILDなお話を紹介したく思いますのでお楽しみに。
