コナンが群れと一緒に目前の林から消え去って、あたりはシーンとしていました。
聞こえるのは小鳥のさえずりと、風の音のみ。木漏れ日がとてもまぶしく感じました。
私とS先輩はそろそろ山を降りることに。ただもしかするとコナンが取り残されていたりするかも・・・と心配し、二手に分かれて下山しました。私は下山の間中「あ〜どうしたもんやろか」といういたたまれない気持ちで悶々としていました。そして数十分後に山の中腹で先輩と合流。
すると「っえ!?」ナントS先輩の腕には子ザルのコナンがしっかりとしがみついていたのです。先輩によると登山道の脇に小さくうずくまっていたとの事。しかし、その場所はコナンがいなくなった場所からはだいぶ離れていたそうです。つまり、コナンは本当に運よく救われたわけです。
今回の事で私と先輩はただやみくもに群れに帰してもダメだとわかりました。ではどうするか?。冷静に考えると人間界で暮らすよりもできれば野生に返したい。そこで今度はコナンの背中に小型の電波発信機(S先輩の手作り)を装着して群れに戻してみました。この発信機はよくできており、重さは数十グラムしかなく、背中の毛にボンドで装着してあるため毛がわりの際に脱落するというものでした。この発信機はものすごい威力を発揮。なんとコナンは群れに一度も帰ることはなく幾度となく山中に取り残されていたのです。そのたびに私たちは受信機をとアンテナを使いコナンから発せられる電波を頼りにコナンを探し出すことができました。
しかし、結果的には弱ったなあ〜。コナンは野生には返せなかったのです。
大学のベンチでミカンを食べるコナン 1歳の春
