おはようございます。
先日、尿に交じって血の塊が排泄された女の子のワンちゃんが来院しました。
膀胱結石の有無を確認するためレントゲンを撮影しましたが、結石はなし。
膀胱腫瘍などがないか調べるため超音波検査をしたところ、直径1cm程度の塊が見えました↓

飼い主さんと相談し、今回は膀胱カメラで肉眼的に観察することにしました。
女の子の場合は陰部から直接カメラを挿入できるので、体を傷つけることなく尿道と膀胱を観察できます。
まず、尿道ですが、きれいな粘膜で正常な状態です↓

続いてカメラを膀胱内に挿入。
すぐに問題と思われる塊が目に入りました↓

ただ、心配していた腫瘍などではなく、尿由来の沈殿物のようで膀胱内の尿を抜いたところ、きれいに排出させられました。
尿を抜いた後は膀胱内に空気を入れ、粘膜面をくまなく観察します↓

幸い、問題点は見つかりませんでした。
出血の原因は尿道と膀胱にはないことがこれではっきりしました。
画像にはありませんが、今回は子宮の一部も観察し、問題点は認めておりません。
となると、出血の原因は不明となりますが、このような場合はなんでもない小さな炎症が陰部周辺にあったと予想し、今後の経過観察を行うことになります。
重要なポイントは、問題を放置せず取り組める検査は積極的に行ったことでしょう。
その場合動物にかける負担は極小にとどめるべきです。
その点、内視鏡については全身麻酔は必要ですが、体を傷つけることなく得られる情報量は非常に多い有益な検査と言えるでしょう。