昨日吐いた物に10CMのリボンが混じっていて、今日も何回か吐く仕草をする。ということで3歳のネコちゃんが来院。飼い主さんのお話では、残りのリボンが家じゅうのどこを探しても見つからないそうです。食欲と元気がなくグッタリ。このような場合は事を急ぎます。最悪の場合、長いリボンが小腸に絡まって腸の運動が抑制され、腸がねじれたま動けずに栄養を運ぶ血管がつまり、腸が壊死して亡くなります。リボンのような布はレントゲンには写りませんし、バリウム検査には時間がかかります。このようなときはやはり内視鏡検査が最も威力を発揮します。内視鏡では食道、胃、小腸の一部の口から約90CMまでの範囲の状態がクリアな画面で観察できますし、内視鏡に装着可能なカンシで異物を取り除くことも可能です。でも、今回はカンシで取れない場合はすぐに開腹手術をする予定で検査を開始しました。
ガスによる麻酔で眠らせカメラを口から食堂に滑らせるように進み、やがて胃に到着すると視界にはすぐに忌々しいリボンが写りました。緑色のモノがリボンです。
すぐにカンシを送りこみ、がっちりと挟み込み引っ張りますが何センチあるか分からないリボンは腸のどこかに引っかかっているようでリボンは抜けません。このような場合はある程度のところでやめないと、腸をねじってしまうことがあるので、止めて開腹しました。
予想通り腸がリボンに絡まるようにしてよじれていました。腸は本来の長さの1/4くらいに縮んでいました。これでは引っ張っても出ないはずです。仕方がないので腸の一部を切開して、注意深くリボンを引っ張り出しました。
これが取り出したリボンです。長さが約80CMありました。どんな風に飲んだのかは不明ですが上手く飲んだものです。異物を取り出した後は急速に状態は回復していきます。切開した腸もしばらくすると全く問題なく動いてくれることでしょう。ネコの飼い主さんはご注意ください。特にネコは日頃からよく吐くので異物の誤食の発見が遅れる傾向があります。越そういう意味では今回はとても早い発見でした。