7歳のマルチーズが昨日から数回の嘔吐と血便で「病院に伺った方がいいですか?」と緊急電話に連絡がありました。膵炎を起こしているならばなるべく早くに点滴をした方が良いので大事を取って来ていただくことにした。病院でお会いしたとき飼い主さんから「今病院の前でしたウンチに毛糸の塊が混じっている!」この一言で一瞬「えっ?!」と思いました。聞いてみるとこの子は7歳でこれまでに異物の誤食はしたことがなかったからです。でも、確かに肛門から糸くずが出ています。飼い主さんによると昨日の朝散歩の催促にすぐ応えられずに我慢させていたところ、何やらゴソゴソやっているので見ると、奥さんが新調したばかりの絨毯をひっかいていたとの事。しかし、食べたとは全く気付いていなかったそうです。試しに肛門から出ている毛糸を引っ張るととても痛がる。しかも、引っかかって出てこない。この場合は開腹し、絡まった糸を手術で一刻も早く取り出す必要があります。「もしかしたら明日までにでてくるかも・・・」と様子を見ると運が悪いと腸管が壊死して腹膜炎をおこし死亡することもあり得ます。手術というと飼い主さんはかなり敬遠されますが、異物誤食で嘔吐、下痢、元気消失の症状がみられる場合は迷わず開腹した方が予後は一日様子を見るよりはいいと信じます。ですからこの子の場合も緊急手術を行いました。結果は「手術してよかった!」糸は胃袋から小腸、大腸にわたって絡まっており、腸が捻転しまくっていました。
お尻から毛糸が出ている このおかげで異物の誤食が明らかになった

捻転している小腸 しかしこれはほんの一部

取り出した毛糸
