耳の痒みを訴えて来院されるワンちゃんは多いです。
今回の子もずいぶん前から耳の痒みが引かずに困っていました。
診察室で使用する耳鏡で見ると「毛」用の異物が耳道を塞いでいる!ご存じのとおり犬の耳の穴は小さく、深いためこの異物は簡単には取り除けません。そこで今回は耳用の内視鏡を用いて異物の除去及び耳垢の洗浄を行いました。
↓内視鏡下では耳内の異物がハッキリと確認可能
↓内視鏡は全身麻酔下でTV画面を見ながら麻酔管理者を含め3人体制で行います
↓異物を専用のカンシで除去し、その後は極細のチューブを使用し耳内を徹底的に洗浄します
↓取り出した異物は「植物の種子」でした。その他にも鼓膜付近には耳垢がビッシリ蓄積していました。
↓洗浄後の鼓膜です。下の「正常状態の鼓膜」に比べ腫れぼったいのは長きにわたる耳垢の蓄積で耳内表面が炎症を起こしているためです。異物と耳垢を除去しましたので数日後には正常状態に戻ります。もちろん痒みからも解放され気分もスッキリです。
↓正常状態の鼓膜
異物がなくても、「犬が耳を痒がる症状」は耳の中に乱生した毛に耳垢が詰まっているケース、鼓膜に体表から抜け落ちた毛が張りついているケース等さまざまなことが原因でおこります。
また、犬種によって耳道の細い犬、毛深い犬、耳道の狭い犬等、様式がバラバラ・・・・。なので症状も多種多様です。ですから、当院では通常の耳洗浄と点耳薬処置をした後1週後に症状が再発する場合は、内視鏡下で耳の様子を目視で確認し、必要に応じた処置を行います。全身麻酔について心配される方が多いのですが、麻酔専属のスタッフの管理下で行いますので安心ですし、事前に健康診断Cコースをご利用いただければ動物の全身症状が把握でき、なお安心です。歯石除去と合わせて行う場合も多いので関心のある方、長期に患っている方は、是非ご相談ください。 きっとスッキリしますよ
また、繰り返し内視鏡下で治療を行うことで耳道切除等の手術の頻度が低くできるようになることが期待できます。体の小さい動物だからこそ、出きる限り切らずに治すのがベストと考えます。